ランデザインスタッフの日記

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2011-06-21

葉入り和紙にオフセットの一版多色刷り



JAZZのレコードジャケットを題材にして、扇町マテリアル会議のメンバー、泉広印刷の矢部さんと一緒に印刷・加工の実験に取り組みました。
2点のうち、まずは「葉入り和紙にオフセットの一版多色刷り」についてまとめてみます。

「Fascination Jazz Collection」と題したこのレコードジャケットは華やかなイメージにしたいと思い、カリグラフィックなデザインを、葉っぱを紙の中に漉き込んだオリジナルの和紙に刷ることに挑戦しました。しかもその刷り方は、オフセット印刷による一版多色のグラデーションを刷ってしまおうという取り組みです。はたしてうまくいくのか、さっぱり分かりませんでした。

まずは紙づくりから。越前の和紙職人さんにご協力いただき制作開始です。

このように四隅に装飾的に並べてもらいました。

2丁付けで紙を漉きます。



そして型から取りだして、数日乾燥させるとこのようにきれいに四つ葉の入った紙ができました。


さて、次はこの貴重な和紙に印刷をします。
今回、一版多色刷りに挑戦する機械は、平台の手差しオフセット印刷機です。極薄や厚紙、まち付き封筒など、普通の印刷機では刷れないものを刷ることができる、必要な人には有り難いニッチな機械なのです。



まずはインクを調合。2色で挑戦です。
インクができたら刷版をセット。



絵柄の真ん中を赤紫系、上下をオレンジにしてみました。

ローラーでしばらく色をなじませます。

刷版についたインクがブランケットに転写されます。
この色、すごいきれい!と思わずうっとり。もしかしてうまくいくかも。



紙を置く位置を確認。写真に写っているのが、この機械を操る廣田さん。この道ウン十年、バリバリの職人さんです。でも一版多色刷りはしたことがないとのこと。「こんなん邪道や」と言いながらも興味津々の様子。




動き続けている機械へ、躊躇なくよく紙を置きます。




ブランケットが紙の上を通過し、刷り上がったのをみてびっくり!イメージ通りのものがいきなり出来ちゃった!
グラデーションといい、四つ葉とのバランスといい完璧。紙は4枚しかないのですが、2枚刷ってみてばっちりだったため、欲が出てきて次は3色のグラデーションに挑戦することに。




絵柄の上下に黄色を足してみました。

そしてローラーを前後に動かしてインクをなじませます。





インクの混ざり具合をみる廣田さん。




少しインクを調整しながら、いい感じになってきたところで紙を挿入。



完璧だ!これがオフセット印刷なのに網点の無いグラデーション!不思議感覚&めちゃきれいです!!

最後に仕上がりサイズにするのにも、紙を断裁せず、和紙の繊維感を活かすため紙をちぎって仕上げ、裏側にレコードを入れるポケットを付けて完成。


完成品は今日6月23日からペーパーボイスではじまるヤンクリ「レコジャケ展」とその後の「レコジャケ展」in ブリーゼブリーゼに出展しています。ご都合よろしければぜひ実物をご覧ください。


ヤンクリ「レコジャケ展」

●日  時:2011年6月24日〜7月7日
      28日 18:30よりパーティーを行います(20:00まで)
●場  所:心斎橋・ペーパーボイス大阪

「レコジャケ展」in ブリーゼブリーゼ

●日  時:2011年7月16日〜7月31日
●場  所:梅田・ブリーゼブリーゼ




※写真はクリックすると拡大します


「手動穴あけ機による、色の構成」実験はこちらです

by Nami | 2011-06-21 | Laboratory

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