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2013-08-18
1つ前のブログで紹介しました机に合わせるための椅子を探していたのですが、これと言ったのが見つからず、なんと家具町工房の賀來さんの指導のもとで作ることになりました。
はじめに書いたスケッチがこちらです。
このスケッチを基に、座った時のおしりの位置、腰の位置を考慮しながら原寸の設計図を描きます。
スケッチをそのまま図面にするのではなく、人間工学に基づいた設計にすること、これが椅子の設計についてきちんと理解されている賀來さんの真骨頂なのです。勉強や仕事をするための椅子ですから座った時の姿勢がよくなり、なおかつ長時間座っていても疲れないことが重要なのです。
3方向からの図面も描き、各パーツのサイズを割り出します。
そして各パーツをざっくり切り取ってからきれいに仕上げていきます。
まったくさまになっていない、私です。。これは回転式ののこぎりですがこれ以外の機械もたくさん使いました。
原寸の図面のよさは、数値よりもこの図面通りにできていたら大丈夫ということなんです。
ほぞ組は設計も加工も時間がかかるので、今回は欧州でよく使われているというドミノというものを使って接続します。
背もたれの部分はカーブしており一番時間がかかった部分です。
まず木型を作り、それに合わせてルータという機械で木を削っていきます。
このルータというものの破壊力がすさまじいもので、一瞬にして指を吹っ飛ばしてしまう代物です。最大の緊張の場面です。
さて、いよいよ脚が用意できたので仮組して座ってみる。
このように賀來先生もご満悦の仕上がりでしたよ。
なんとかここまでいきました。
次に座面の制作。ナラ材から木取りをします。
これは経験豊富な先生でないと分かりません。
ちなみに作りながらノコギリの使い方や糊の作り方、パーツの印の付け方などなどすべての工程についていろんなことを学びました。
そうしてできたのがこちらです。
ほぼスケッチ通り!しかも座り心地が最高!!
デザインを活かしながらも、人間工学という人が使うという点で押さえるべきところは押さえたというのがよかったんですね。これは物を読む、使うという点でグラフィックデザインでも重要なところです。
でもカタチになる、使えるというのがうれしいですね。こうやって写真を見たらまるですぐできたように見えますが、大変でしたよ。これからは椅子を見る目が変わります。
やっぱり手を動かすってことは大事だということが身にしみて分かった椅子制作でした。
(写真をクリックすると拡大します)