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2010-07-08
トムソン型といえば、デザイナーならよくご存じの抜き型のことですが、実際のところどう設計されて、どう作られているのか、この未知の領域を体験するため中野木型製作所さんのご協力のもと、講義とワークショップが行われました。
参加したのは、デザイナーと職人さん、商社さんで活動している扇町マテリアル会議のメンバーとパッケージデザイナーの方々。講師は扇町マテリアル会議のメンバーでもある中野木型制作所の鈴木さん、実習では同所の職人のみなさまにもご協力いただきました。
まず講義ではいろいろな箱の展開図の説明と作例の紹介からスタート。例えば、1つの型で組立かたにより1個入りから3個入りまで対応できるオリジナルのパッケージなどは、どうしてそんな構造が考えられるのか、自分では見当つかないので感心しきりです。それからデザイナーに向けては、データの作り方で気をつけてほしい点などを説明していただきました。刃の厚みがあるので、あまりに鋭角で狭い形はできない、最低でも2mmは隙間を確保してほしいなど、現場サイドからの要望がありました。
そして試作品を作るサンプルカッターの紹介。
切るだけでなく、折り目もつけることができる機械です。
(写真に写っているのが鈴木さん)
次に工場に移動し、メッセージカードの木型作りを行いました。
あらかじめ用意していただいたCAD図面を読み込んで、レーザーカッターで木をくり抜きます。
次にペッカーという機械で、刃を成型しカットします。
こちらが刃。
意外と大きく、しかもカッターのような鋭利な刃!なんです
ペッカーで曲げたり、切ったりしている様子。
細かい角度の調整は、手作業で。
隙間の部分にも少し溝を付けたら、刃を木槌でたたいてはめ込みます。
刃が斜めにはいってしまい、みごとな失敗例を作ってくれたデザイナーさん(中央)。
でも鈴木さんが木槌で手際よく直してしまうのはさすが。
最後に高さが少し低い折り罫用の刃を入れたら、ゴム貼り。
ゴムは抜いた紙が型からはずれるようにするための役目です。
刃に沿わせるようにハサミで切ってボンドで貼っていくのですが
これが意外と大変!
まさに手作業。しかも刃のまわりにくっつけていくので危ない!
軍手が切れた参加者はいましたが、幸い血を見た参加者はいませんでした。
角をきれいに仕上げるのは、なかなか感覚がつかめず思いのほか時間がかかりました。
さて、そうしてようやくできあがったわたしの木型がこれ。
一応、職人さんにOKをもらえました。
(職人さん、チェック厳しいんで)
もちろん職人さんの仕上がりはもっときれいですよ。
しかもこんなに大きいものを何個も作っていくのだから、本当に大変な仕事です。
そうしてできた木型を使って、紙を抜いてみました。
自分で作った木型で抜いたメッセージカード。
なんどぜいたくなカードでしょう。
私たちデザイナーがデータを入稿した後、いったいどうなって製品になっていくのか、一部ですが知ることができた貴重な体験となりました。
この機会を作ってくださった中野木型のみなさま、ありがとうございました。
p.s. 一緒に参加した小野商店さんのブログでは製作過程の動画をみることができます。
※写真をクリックすると拡大します