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2016-09-29

Rocioコラム5: 異体字2





前回、大文字のスワッシュは単語の頭で使い、大文字のスワッシュだけで文字を組まないことをお話しました。
小文字については通常の異体字(ごく短いスワッシュ付きと長いスワッシュ付きと言えばよいでしょうか)の他に、語頭スワッシュ、語尾スワッシュがあります。語頭スワッシュは行の始めに、語尾スワッシュは行の最後に使います。しかし、使い方にはポイントがあります。むやみに使うと格好悪くなるかもしれないので注意が必要です。

語頭スワッシュを文章中に使うのはNGです。







語尾スワッシュを単語の中で使うのもNGです。




語尾スワッシュは、行長の長い行と短い行がある場合は短い行につけると自然です。特に語尾スワッシュに関しては、前の行とくらべて短い行になった時に空間を埋める気持ちで使います。下記の例では1行目最後のdは行長が他より長い箇所なので語尾字形でない方がまとまりが良いと思います。





見た目に窮屈な時やぶつかってしまう場合は、スワッシュを使わないようにします。下記を参考にしてください。






別の例を見てみましょう。


blog5_5.png


2行目のlに語頭スワッシュがありますが、語頭スワッシュは行の頭で使います。その他、スワッシュの重なりは避けたいところです。カリグラフィーではスワッシュが重なっていることはよくありますし、語頭スワッシュが語頭でないところにでてくることもあるかもしれませんが、それは手書きでバランスを調整しながら書いたものです。形が決まっているフォントの場合と手書きとは条件が違うということを理解してください。またスワッシュをつけることができる文字全部にスワッシュをつける必要はありません。バランスよく適度についているほうがよいように思います。


blog5_6.png



文章でなく1行だけの場合はどうでしょうか。


blog5_7.png

1行だけの場合の全体のバランスで見てよければ構わないのですが、不自然に見える場合は無理に使わないほうがよいように思います。上の例については、全体にスワッシュが使われていないなかで文末だけがスワッシュというのは違和感を感じます。バランスのよくない例と言えるでしょう。

特にdmuの語尾スワッシュは間を埋めるようなデザイン(無理に伸ばしている感じ)ですので、単語や1行の時に使うにはあまり向いていません。





装飾の大きくない基本の異体字(冒頭ではごく短いスワッシュと言いましたが、通常はスワッシュとは言わないと思います)を使った時の雰囲気も見ておきましょう。


blog5_9.png

大文字のスワッシュと基本のスワッシュを組み合わせるだけでも流れが感じられる印象になりました。
これらの点を考慮しながら、次回は異体字の組見本をたくさん見てみたいと思います。

by Nami | 2016-09-29 | column

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